小池邦夫のうちあけ話 8 絵手紙のひと

転機 「銀花」の6万枚と格闘

《1977年、東京・銀座の画廊で2回目の個展を開く。季刊「銀花」の編集長・細井冨貴子さんが見に来たことでチャンスをつかむ》
 この時は、親友の正岡千年にかいた「絵のある手紙」を展示しました。画仙紙に動物などの線画を添えた約50点。細井さんは会場を興奮しながら見て回り、「世の中にこんな手紙を書いている人が今でもいるの?」「すごい」「えらい」と、小柄なのに大きな声で叫んでいました。
 その場で、「銀花」の1冊に1枚ずつ肉筆の言葉を添えた私製はがきを挟み込む企画を提案されました。計6万枚という途方もない数で、制作期間は1年間。1日に200枚近く書かないといけないわけです。
 妻に相談しました。「あなたならできる」と背中を押してくれた。僕はこれが最後のチャンスだ、と覚悟を決めて5日後、細井さんに「やります」と返事をしました。

《77年11月から、狛江市の自宅で絵手紙との格闘が始まる》
 電動式の墨すり機を使い、朝8時ごろから夕方5時ごろまで濃い墨で画用紙にかいた。鳥や魚などの絵を先に描き、言葉は絵の周りに入れる。「すぐに飛びたちたい」「よし、これからだ!」「芸術はゆさぶりだ」……。インパクトのある短い言葉に凝縮。時には、はがきの枠をはみ出るほど筆文字を走らせました。
 1枚終えるごとに、建具職人の義父が作ってくれた200枚入る棚に差し込んでいく。僕の筆には勢いがあるから墨が飛び散る。ジーンズも足の裏も、真っ黒になりました。

《すぐ言葉に行き詰った》
 著名人の講演会などで印象に残ったフレーズをたくさん書き留めていた手帳から引用したけど、1週間で言葉が浮かばなくなった。でも、僕の言葉は自分を鼓舞するためのメッセージだと開き直った。何とか乗り切ろうと、必死にひねり出した。
 右手が痛み、休ませるために左手で描いたこともありました。今シーズンも絶好調の大谷翔平さんと同じ〝二刀流〟です。
 細井さんは僕を励ますために絵手紙を始めてくれた。疲れたり気持ちが折れそうになったりした時に、細井さんの絵手紙が届くと、勇気づけられました。1年後に6万枚を書き上げ、僕の転機になりました。

 次回はこの直後に起きた、僕の人生で最もつらい話をします。

(聞き手 元新聞記者・佐藤清孝)

※前号で氏名の表記に誤りがありました。正しくは「舟橋聖一」、「中村光夫」でした。訂正してお詫びします。

 


むいから寺子屋~夏休みはむいからに行こう!~

 子どもたちを対象に日本の伝統芸能や生活文化を学べる体験教室等を開きます。

勾玉を作ろう

日程

7月26日(水曜日)、8月4日(金曜日)・20日(日曜日)

時間

午前10時~正午

対象

小学校3~6年生

各日

定員

先着15人(要予約)

内容

軟らかい石を削って古代のアクセサリーの勾玉を作ります。

持ち物

飲み物、ハンカチ、筆記用具、帽子

むかし 狛江で

日程

7月29日(土曜日)午前10時~正午

対象

小学生以上

内容

紙芝居「戦争と狛江の子ども達」や「カッパのクー助」の上演と絵本の読み聞かせ等

講師

紙芝居「戦争と狛江の子ども達」継承グループ&こまえ平和フェスタ実行委員会

むいから理科工作

日程

8月2日(水曜日)午前10時~正午

対象

小学校3~6年生

定員

先着10人(要予約)

内容

身近な物を使った工作で、ゴムや風の力を調べます。

講師

大庭慶雄さん

持ち物

飲み物、ハンカチ、筆記用具

生け花体験教室

日程

8月5日(土曜日)

時間

午前10時~11時・午前11時~正午

対象

小学校3年生~中学生

各回

定員

先着10人(要予約)

内容

はさみの使い方や花留めなど生け花の基本について学び、花を生けます。

講師

狛江市華道連盟

持ち物

飲み物、ハンカチ、筆記用具、持ち帰り用の袋

能楽体験教室~能を楽しく学ぼう~

日程

8月8日(火曜日)・12日(土曜日)

時間

午前10時~正午

対象

5歳児~中学生
※保護者の方も一緒に体験できます。

各日

定員

先着5組(要予約)

内容

舞や鼓の体験や、能面を作る等、能を楽しく体験できます。

講師

中村昌弘さん・栗林祐輔さん・鳥山直也さん(狛江能楽普及会)

持ち物

靴下、飲み物、ハンカチ、筆記用具

 

注意事項
  • 作ったものは持ち帰ることができます。
  • 汚れてもよい服装でお越しください。
申し込み・問い合わせ

むいから民家園 電話(3489)8981(開園時間午前9時30分~午後4時30分、月曜日休園
※7月17日(祝日)、8月11日(祝日)は開園、7月18日(火曜日)は休園)へ。